親の介護で仕事を辞める前に|介護休業・介護休暇・時短勤務の違い

親の介護で仕事を辞める前に。仕事のかばん、家、カレンダーのイラスト 介護・老人ホームの基礎知識

親の介護で仕事を続けるのが難しいと感じたら、退職を決める前に、会社で利用できる休業・休暇・勤務時間の制度と、親の生活を支えるサービスを確認しましょう。

まとまった休みには介護休業、通院の付き添いなどには介護休暇、日々の働き方の調整には短時間勤務等の措置があります。使える条件や収入への影響は、それぞれ異なります。

この記事では、主に民間企業などで雇用されて働く人に向けて、制度の違い、会社への相談方法、家族の分担、岡山市での介護相談先を整理します。公務員などは、勤務先に適用される別の制度・規定も確認してください。

情報確認日:2026年10月15日。厚生労働省・岡山労働局の公式案内に基づき、2025年4月施行の介護関係の改正を反映しています。

介護休業・介護休暇・時短勤務はどう違う?

最初に、「まとまった期間を休む必要があるのか」「特定の日や時間だけ休みたいのか」「毎日の勤務を調整したいのか」を分けて考えます。

制度主な使い方・法定の枠組み
介護休業まとまった休み。対象家族1人につき通算93日、3回まで
介護休暇通院の付き添いなど。対象家族1人なら年5日、2人以上なら合計年10日まで
短時間勤務等の措置働きながら時間などを調整。会社が設けている制度を確認

出典:厚生労働省「介護休業制度特設サイト」の各制度案内。確認日:2026年10月15日。対象者の条件や例外があります。会社が法律を上回る制度を設けている場合もあります。

介護休暇は年次有給休暇とは別の制度です。ただし、名前に「休暇」とあっても、必ず有給になるわけではありません。

介護休業は、仕事と介護の体制を整えるためにも使える

介護休業は、要介護状態にある対象家族を介護するための休業です。対象家族1人につき、通算93日の範囲で3回まで取得できます。

毎年93日ずつ付与される休暇ではありません。すでに取得した日数・回数がある場合は、残りを会社に確認してください。

厚生労働省は、休業期間を、仕事と介護を両立できる体制を整える準備期間として活用することを案内しています。

  • 地域包括支援センターやケアマネジャーに相談する。
  • 介護サービスや退院後の生活を調整する。
  • 家族が担当することを決める。
  • 職場復帰後に支援が足りなくなる時間帯を確認する。

例えば、退院前後の準備、サービスの開始、生活状況が変わった時期などに分けて取得する考え方があります。これは活用の例であり、必ず3回に分ける必要はありません。本人の状態と会社への申出を踏まえて決めましょう。

希望する開始日の2週間前までに申し出る

法定の介護休業は、希望する休業開始予定日の2週間前までに、書面などで会社へ申し出ます。社内様式や申出先を確認してください。

急な入院などで間に合わない場合も、まず会社に事情を伝えます。開始日の調整や、介護休暇・年次有給休暇などの利用を相談しましょう。会社が、法律より短い申出期限を設けている場合もあります。

介護休暇は、通院の付き添いや短時間の手続きに使う

介護休暇は、要介護状態にある対象家族の介護や世話のために、1日または時間単位で取得できる休暇です。通院の付き添い、介護サービスの手続き、ケアマネジャーとの打ち合わせなどにも利用できます。

  • 対象家族が1人の場合:1年間に5日まで。
  • 対象家族が2人以上の場合:1年間に合計10日まで。

対象家族が2人いるから「1人につき10日」になるわけではありません。会社が別に定めていなければ、この1年間は4月1日から翌年3月31日です。

申出は書面に限らず、口頭でも可能です。急な付き添いが必要になった場合の連絡方法や、社内の届出手順も確認しておきましょう。

時間単位でも「中抜け」が必ずできるとは限らない

時間単位の取得は、原則として1時間の整数倍です。ただし、勤務の途中で休み、同じ日の勤務に戻る「中抜け」まで認めることは、法令上の義務にはなっていません。

午前中の付き添い後に出勤する、終業前に退勤するといった使い方と、昼間に一度抜けて職場へ戻る使い方を分け、会社の規定を確認してください。

また、時間単位での取得が難しい業務について、労使協定で時間単位の取得対象から除外している場合は、1日単位で取得する扱いになります。

時短勤務は、会社が設けている選択肢を確認する

介護のための「短時間勤務等の措置」では、会社は次のいずれか1つ以上の制度を設ける必要があります。

  • 短時間勤務制度。
  • フレックスタイム制度。
  • 始業・終業時刻を繰り上げたり、繰り下げたりする制度。
  • 介護サービスの費用を助成する制度、その他これに準ずる制度。

どの会社でも、希望する形の時短勤務を必ず選べるという仕組みではありません。勤務先がどの制度を設けているかを確認しましょう。

短時間勤務には、1日の勤務時間を短くする方法のほか、週や月の勤務時間・勤務日数を短くする方法などがあります。

対象家族1人につき、利用開始から連続する3年以上の期間で、2回以上利用できる措置が必要です。ただし、介護費用の助成措置は1回とすることができます。具体的な期間や利用方法は、会社の規定も確認してください。

残業や深夜勤務の調整も別に考える

勤務時間そのものを短くする以外にも、介護のための労働時間に関する制度があります。

制度主な内容
所定外労働の制限会社で定めた勤務時間を超える残業の免除
時間外労働の制限法定時間外労働を月24時間・年150時間以内に制限
深夜業の制限午後10時~午前5時の勤務を制限

出典:厚生労働省の各制度案内。確認日:2026年10月15日。所定外労働と、原則1日8時間・週40時間を超える法定時間外労働は、意味が異なります。

これらは対象者や利用期間、例外が制度ごとに異なり、原則として開始予定日の1か月前までの請求が必要です。事業の正常な運営を妨げる場合の例外もあります。

深夜業の制限では、勤務時間のすべてが深夜にある人や、介護できる同居家族がいる場合などにも条件があります。夜勤が難しい場合は、制度名だけで判断せず、勤務の組み方も含めて会社へ相談してください。

誰が使える?介護認定・雇用形態・勤続期間の注意点

介護認定がなくても、対象となる場合がある

育児・介護休業法の「要介護状態」は、負傷、病気、身体や精神の障害によって、2週間以上にわたり常時介護が必要な状態を指します。介護保険の要介護認定を受けていることが、必須条件ではありません。

また、「2週間以上」とは家族に介護が必要な状態の期間です。取得する介護休業が、必ず2週間以上でなければならないという意味ではありません。

認定結果だけで判断せず、親の日常生活でどのような介助・見守りが必要かを会社へ伝えましょう。証明する書類についても、厚生労働省は医師の診断書だけに限定していません。

親や配偶者の親は対象家族に含まれ、同居している必要はありません。ほかに配偶者、子、祖父母、兄弟姉妹、孫なども対象になります。

パート・契約社員も、雇用形態だけで対象外にはならない

パートや契約社員なども対象になり得ます。ただし、日々雇用される人は法定制度の対象外で、介護休業では有期雇用契約に関する追加条件もあります。

有期雇用の介護休業では、休業開始予定日から93日を経過し、そこからさらに6か月を経過する日までに、契約が満了して更新されないことが明らかでないことが必要です。契約期間と更新予定を確認してください。

2025年の要件緩和は、介護休暇の変更

2025年4月から、介護休暇について、労使協定で「継続雇用6か月未満の人」を対象外にする仕組みが廃止されました。ただし、週の所定労働日数が2日以下の人は、労使協定による除外の対象になり得ます。

介護休業や短時間勤務等では、労使協定により、継続雇用1年未満や週の所定労働日数が2日以下の人を除外できる場合があります。介護休業には、申出から93日以内に雇用関係が終了することが明らかな人に関する除外もあります。

労使協定は、会社と労働者側の代表などとの書面による取り決めです。「勤続期間が短いから、すべて使えない」とひとまとめにせず、利用したい制度ごとに確認しましょう。

休んだときの給与と介護休業給付金は分けて確認する

介護休業や介護休暇を有給にするかは、会社の規定を確認します。法定制度があることだけで、休む前と同じ給与が支払われるとは限りません。

短時間勤務を使う場合も、短くした時間に応じた給与の扱い、賞与、手当などへの影響を確認してください。

介護休業では、雇用保険の要件を満たす場合、介護休業給付金の対象になります。原則として休業開始時賃金日額・支給日数をもとに67%で計算されますが、上限や、休業中の賃金による調整などがあります。

「手取り給与の67%が、誰にでもそのまま入る」という意味ではありません。雇用保険の加入期間、休業中の就労・賃金などの条件も確認が必要です。

介護休暇を取った日や、短時間勤務で短くした時間に、この介護休業給付金が自動的に支給されるわけではありません。

給付は職場復帰を前提とした制度です。介護休業の当初から退職を予定している場合は、支給対象にならないと厚生労働省が案内しています。

休む前に、給与、給付の申請担当と時期、入金までの生活費、社会保険料や住民税の支払い方法を会社に確認しましょう。給付金の詳しい条件は、厚生労働省「介護休業給付のQ&A」やハローワークで確認できます。

会社への相談は「いつ・何に・どのくらい必要か」を伝える

休む日数を完全に決めてから相談する必要はありません。分かっている予定と、まだ調整中の部分を分け、上司や人事・労務担当へ伝えましょう。

次は、当サイトで作成した相談文例です。実際の相談記録ではありません。

「親の介護が必要になり、仕事との両立について相談したいです。現時点では、退院前後の調整と、月に数回の通院の付き添いが必要になりそうです。利用できる介護休業・介護休暇・勤務時間の制度、申出期限、給与への影響を教えていただけますか。家族や介護サービスとの分担も調整しています。」

面談では、次の項目を確認すると、具体的に進めやすくなります。

  • 利用できる制度と、自分が対象になるか。
  • 申出先、期限、社内様式、確認に使う書類。
  • 休業・休暇の残日数と、過去の取得回数。
  • 給与、賞与、手当、社会保険料などの扱い。
  • 給付金の申請担当と必要な準備。
  • 業務の引き継ぎ、休業中の連絡、復帰時の相談方法。
  • 予定が変わった場合の連絡・変更手続き。

2025年から、会社には個別の説明・意向確認の義務がある

2025年4月から、家族の介護に直面したと申し出た労働者に対し、会社は介護休業や両立支援制度、申出先、介護休業給付金などを個別に周知し、利用の意向を確認することが義務になっています。

また、研修、相談体制、利用事例の収集・提供、利用促進方針の周知など、利用しやすい環境を整える措置も必要です。すべての会社に専用の相談窓口の設置だけが義務付けられた、という意味ではありません。

40歳前後の労働者への制度の情報提供も義務化されています。介護のためのテレワーク導入は努力義務であり、必ず在宅勤務を選べる権利が新設されたわけではありません。

会社への相談と並行して、介護サービスと家族の分担を整える

勤務時間だけを変えても、食事、通院、夜間の見守りなどを一人で担当すると負担が残ることがあります。親の意向も聞きながら、必要な支援を場面ごとに整理しましょう。

成人した家族2人がメモを見ながら、親の介護の分担を相談するイラスト
  1. 支援が必要な場面と時間帯を書き出す
    通院、食事、入浴、服薬、夜間など、誰の手助けがいつ必要かを整理します。
  2. 地域包括支援センターやケアマネジャーに相談する
    就業時間、通勤時間、家族が不在になる曜日も伝え、利用できる支援を確認します。
  3. 家族が担当することを具体的に決める
    付き添いだけでなく、事業所との連絡、支払い、書類の管理なども分けます。
  4. 予定が変わったときの代替方法を決める
    担当者が休めない日や体調を崩したときに、誰へ連絡するかを確認します。
  5. 復帰後の生活を見直す
    休業中にできていた支援を、出勤後は誰が担うかを確認します。

岡山市で初めて介護を相談する方は、地域包括支援センターへの相談準備と電話の文例をご利用ください。担当窓口は、親の住む地域から確認します。

食事の準備を分担する方法として冷凍弁当を検討する場合は、高齢の親に冷凍弁当を送る前の確認ポイントも参考になります。受け取りや温め、食事介助まで含めて使えるかを確認してください。

在宅での支援と施設入居を比較したい場合は、岡山市の老人ホーム・介護施設の探し方で、希望条件や費用を整理できます。

制度の説明を受けられない・退職を勧められたときの相談先

「会社に制度がないと言われた」「要介護認定や診断書がないため使えないと言われた」など、利用条件の説明に疑問がある場合は、会社から受けた説明をメモし、労働局へ相談してください。

介護休業などの申出・取得を理由とする解雇、雇止め、降格などの不利益な取り扱いは禁止されています。制度についての相談と、退職の手続きは分けて考えましょう。

相談するときは、雇用契約、就業規則、労使協定について分かる資料、会社とのやり取りの日時・内容などを、手元にある範囲で整理してください。

介護休業給付金の受給条件や申請はハローワーク、親の生活を支えるサービスは地域包括支援センターや担当ケアマネジャーが相談先です。

まとめ:退職を決める前に、使える制度と支援を確認する

親の介護で働き方に迷ったら、必要な支援の時間帯を書き出し、会社には休業・休暇・勤務時間の制度を、地域の窓口には介護サービスを相談しましょう。

介護休業は通算93日・3回まで、介護休暇は年5日または合計10日までという違いがあります。時短勤務等は、会社が設けている制度と自分の利用条件を確認することが必要です。

制度があるからといって、無理なく両立できると決まるわけではありません。自分の健康、収入、家族の事情も含めて相談し、利用できる支援を確認したうえで働き方を考えてください。

出典・参考資料

情報確認日:2026年10月15日。法定制度の概要と、当サイトが整理した活用例を掲載しています。個別の対象要件、会社独自の上乗せ制度、申出方法、給付金の受給可否は、勤務先や担当の行政窓口で確認してください。

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